「コート」心書vol.31

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本日、オーダーしていたカシミヤのコートを受け取りに行った。

コートを買うのはもう10年ぶりぐらいかもしれない。


お取引先様との会食で、北新地、銀座、中洲や錦など行かせてもらってきた。

その際、お取引先様の上着に触れる機会があるのだが、

皆さん、肌触りの良いコートをお召しになられている。


3年程前、お取引先様をご接待するために、祇園で芸妓遊びをさせてもらった。

その際、『あぁ、役職が上がれたら、絶対に良いコートを1枚買おう。』と心に誓った。

それから、毎年、気に入るコートがないか、探してきた。


わたしは基本的に着るものに無頓着だ。

好きなブランドはあるが、それ以外の洋服も着るし、

もちろん、ファストファッションも愛用している。


元々、エジプトにいた頃、

『お金を持っていると思われてはいけない。』

と強く思っていたことも着るものに無頓着なことと関係していると思っている。

『良い洋服を着ていたら、周りがどう思うか?』

とネガティヴに考えてきた。


「このままこの会社で働いていたらどれぐらいボーナスが増えるのか?」

「今のままの収入では、仕事を続けていける自信がありません。」

ボーナスの時期になると、若手から聞こえてくる言葉だ。

具体的な額は伝えなくても、

「私も入社した当時は少なかったよ。

 その当時と比べたら今は□倍ぐらいかな。」

と、個別には話すようにしている。


昨日は冬のボーナス支給日だった。

今年の冬のボーナスは、会社としては精一杯の気持ちで支給してくれたと思っている。

だからこそ、多少減ったとしても、

部下に不満を抱かせないように、

しっかりと説明しようと思っている。

こんな状況でコートを買うか迷ったが、

私なりに覚悟を決めて、これからも仕事を頑張ろうと買うことにした。


いつ初めてこのコートを着るかはわからないが、

辛いことがあった時、このコートを買った時の強い気持ちを思い出して

踏ん張ろうと思う。