「アウシュヴィッツ=ビルケナウ」心書vol.55

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エジプトへボランティアに行く前、

幼馴染を訪ねるため、ポーランドへ1週間ほど行った。

特にどこか観光地へ行きたいという気持ちはなかったが、

唯一、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所だけは行ってみたかった。

幼馴染から行きたい場所を聞かれた時に、

アウシュヴィッツ〝と答えたら、

「ごめん。

 あそこはすごい暗い気持ちになるから、

 ◯◯、1人で行ける?」

と言われたので、1人で行った。

行く直前まで、幼馴染から

「本当に1人で大丈夫?」

と何度も聞かれたが、せっかくポーランドへ来たのに

アウシュヴィッツへ行かないという選択肢はわたしにはなかった。


アウシュヴィッツへ着くとすごい行列で、

観光地としてとても人気な場所だとわかった。

チケットを購入するために並んでいると日本語が聞こえてきた。

大学の研修で来た学生たちのようだった。


博物館の外で並んでいた時は賑やかだったが

博物館の中へ入るとみんな静かになった。

実際にご遺体から回収されたメガネや靴、髪の毛などが展示されており、

賑やかにお喋りする雰囲気ではなかった。

個人的に1番衝撃だったのは、

人間石鹸と呼ばれる人間の脂肪から作られた石鹸の展示だった。

(しかし、改めて調べてみると人間石鹸がつくられたという証拠はないとのこと。)


アウシュヴィッツ見学の後は

第2のアウシュヴィッツと呼ばれるビルケナウ収容所も訪問。


こんな酷いことが出来てしまうのも人間であり、

夜行列車で出会った車掌さんのように

他人を助けることが出来るのもまた人間だと改めて思った。

負の遺産〝と呼ばれる場所へアウシュヴィッツ以外にも訪れたことがあるが、

人間には恐ろしい面があることを忘れないため、

またそういったことが再び起きないようにするためにも

気持ちは暗くなるが訪れる意味はあると思っている。