「期待する」心書vol.62

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「部下に期待することをやめてはいけません。

 そんな日がきたら、それは◯◯さんがリーダーであることを諦めたということです。」


ある日、当時入社したてだった部下が出社しなかった。

定時直前にメールで連絡があり、

体調不良で休みたいということだった。

それから2時間後、当社本社に退職代行から電話があった。


色々と家庭環境にも不安がある部下だった。

最後に出社した週末に帰宅する時

仕事後にアルバイト時代の知り合いとご飯へ行く

と楽しそうに話していたので、

まさか次の月曜日に出社しないとは気づけなかった。

指導をお願いしていた課長も

週末に帰社が遅れたこともあり、

飲み会へ向かう彼とビルの1階で会った際、

「月曜日に見積書をみて頂けませんか?」

と言われたとのことで、全く想像もしなかったとのことだった。

しかし、現実は変わらない。

彼は退職代行をつかって退職した。


しばらく、みんな、私にすごく気を遣ってくれていたと思う。

確かに、私はかなり疲れていた。

『何がいけなかったのか?』

と考えないはずはない。


彼が出社しなかった当日、約束していたアポは

幸か不幸か、私がずっと可愛がってもらっている取引先だった。

なので、私が訪問し、状況説明の上、謝罪した。

正式に担当替えをして約3週間。

再度、担当替えをすることについて

取引先へ説明する毎日で、慌ただしく、ゆっくり考えずに済んでいた。


そんなある日、当時の上司とゆっくり話す機会があり、

上司から最初の言葉をかけてもらった。

約3年前だ。


最近またこの言葉を思い出し、自分の気持ちを奮い立たせる。

部下の1人の物忘れが酷くなってきて、

脳の検査を受けることになったからだ。

色々なミスが毎日判明し、今までなら叱ることもできたが、

『病気かもしれないんだから。』

と思うと、叱れない自分がいる。

『期待しても良いんだろうか?』

と、頭をよぎる時がどうしてもある。

そんな時、最初の言葉を思い出し、

部下にとって働き続けられる職場をつくることが

私の大事な仕事の1つだったと思い直す。


明日もミスのフォローに取引先へ伺う。

私がやれることは全部やろうと思う。