「支え合う」心書vol.67

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この数ヶ月、わたしの心は忙しい。


入籍が決まり、親しくして頂いているおじいちゃん宅へ報告に伺った。

おじいちゃんは私の勤め先で顧問をしていた。

奥様の癌がきっかけで退職をして、今は隠居生活をおくっている。


おじいちゃんとは職場で、上司と部下として出会ったが、

今ではおじいちゃんと孫娘のような関係を築かせてもらっている。

そんなおじいちゃんと夫も知り合いということもあり、

おじいちゃんには直接報告したかったので、

コロナ禍ではあるが、久しぶりにご自宅へ伺った。


おじいちゃんは私が結婚することに驚き、

奥様は嬉しい気持ちと寂しい気持ちで涙を流されていたと後から聞いた。


2時間ほど滞在した後、失礼して、駅へ向かって歩いていると

奥様が走って追いかけてこられた。


わたし「ごめんなさい。わたし、何か忘れ物とかしていました?」

奥様「違うの。話があって。

   コロナなんて気にせずに、また会いに来てあげて。」

わたし「ありがとうございます。

    とは言え、お2人共ご高齢になられてきたので、、、。

    いろいろと難しいですね。」

奥様「違うの。 

   1年前に癌の手術したでしょ?

   本人には知らせていないのだけど、

   実は癌を切除することが出来なかったの。

   余命は3年だと言われたわ。

   コロナでもう1年過ぎてしまったけど。」


ここまで話されて、奥様は涙を我慢できなくなった。


奥様「だから、顔をたくさん見せてあげて欲しいの。」


それから1ヶ月して、定期検査で癌が転移していることがわかり、

おじいちゃん自身も同席で、説明を受けることになった。


おじいちゃんが弱々しい声で電話をくれた。

「あんたの子どもを見るまではと思っていたけど、

 あかんかもしらんなぁ。

 わしが亡くなった後、ヨメさんのことを頼みます。」


おじいちゃんは少しでも長く生きられることを望み、

抗がん剤治療をうけることを決めた。

ステージ4の肝臓癌。


『わたしに何ができるのか?』


仕事中、得意先へ向かい歩きながら2分ほど考えた。

夫に「車を貸して欲しい。」と連絡した。

わたしが車を自ら、それも平日に有休を取ってまで運転することから、

『余程のことがあるんだろう。』

と思ったらしく、理由も聞かずに、〝OK〝と返信がきた。

1回目の退院の際、車で迎えに行くことにした。


「◯月◯日の退院の時、車で奥さんを迎えに行って、

 一緒に病院へ迎えにいきますね。」

と、直ぐに電話をしたら、おじいちゃんと奥様はすごく喜んでくださった。


今月末に新居へ引っ越しすれば、

おじいちゃん宅は今よりずっと近くなる。

今までお世話になりっぱなしなので、

少しでも力になれたらと思っている。