「心の隙間」心書vol.73

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「『おはよう。』、『お疲れ様!』などの

 スモールトークには孤独感を和らげる効果がある。

 コロナ禍でそういったスモールトークが大幅に減り、

 結果、孤独感が高まり、

 日本で働く外国人が母国へ帰るきっかけになっている。」


先日、留学生などの外国人を雇っている

もしくは雇う予定がある会社を対象としたセミナーに参加した。

スモールトークについて深く考えたことはなかったが、

〝自分を見てほしい〝という気持ちにこたえられるよう、

他部署などへ出張する際には挨拶はもちろん、

挨拶以外にもそれぞれのメンバーに声を掛けるようにしている。


当社の他部署のメンバーがコロナ陽性者になった

と、社内で情報共有があった。

そのメンバーは60代男性なのだが、離婚歴があり、

今は一人暮らしをしている。

そのメンバーはスナックが入っているビルの一角に住んでいる。

そのスナックがそのメンバーにとっては安らげる場所のようで、

コロナが流行り始めた頃、そのスナックで濃厚接触者になった。

上司からかなり叱られたようで、

その後、そのメンバーからそのスナックの話を聞くことはなくなった。


「コロナ前は毎晩会食があり、二次会もあり、

  一人暮らしが寂しいと思ったことがなかった。

  コロナ禍になり、会食も二次会もなくなり、

  一人で毎日いると、生きていく意味や目的、

  死ぬまでにやりたいことを考えるようになった。」

結婚する前、夫が私にそう言った。

夫の話を聞きながら、コロナは心の隙間を広げ、孤独感を強めるなと感じた。


コロナ陽性者になったメンバーに対して、軽症だということもあるが、

不謹慎にも、わたしはどこかほっとしたところがある。

何故なら、きっと彼にはコロナ禍でも会いたい人、会いたいと思ってくれる人、

行きたくなる場所があったんだなと思ったからだ。

また、それを行動に移せる気力や体力もあったんだと思う。


会いたい人に会いたい時に会える。

また、それがどこか後ろめたいことだと思わなくて良い。

そんな日常が早く戻ってきて欲しいと思うと同時に

自分の身近な人にはせめて「おはよう!」「お疲れ様!」と

声をかけようと改めて思った。