「機嫌」心書vol.68

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「◯◯ちゃんって本当に分かりやすいよね。

 機嫌が悪いのは眠たい時とお腹が空いた時だから。」

20代半ば、友人と夏休みを利用してトルコへ旅行した際に言われた言葉だ。


そう、わたしは眠気と空腹に弱い。

流石に30代半ばになり、自覚がある。

自分の機嫌は自分でとらなければならない。

だから、睡眠と食事は不足しないよう、心がけている。


しかし、5月はどちらも不足させてしまった。


夫「◯◯と楽しく暮らしたいし、たまには歌でも歌いたいから、

  ギターでも買おうかな?」

わたし「要らんよ。

    ゴルフ、散歩、ガーデニングとか一緒にやりたいこといっぱいあるんでしょ?

    きっとあまり使わないし、要らない。」


わたしが歌うことに苦手意識があることに対して、

苦手意識を払拭したいと夫は夫なりに思ってくれていたようだ。


夫「今度、一緒に人間ドッグ受けようか。

  会社の配偶者割引で安く受けられるし。」

わたし「会社の健康診断申し込んだよ。

    大丈夫だよ。」

夫「でも、人間ドッグではないんでしょ?

  なんでも病気は早く見つけるに越したことはないから。

  2-3万円で受けられるんだし、受けたら?

  子宮癌とか乳癌とか若いんだし、心配でしょ。」

わたし「そんなにわたしを癌にしたい?

    会社の健康診断は受けてるし。」


夫は胃癌を患ったことがあり、

わたしの仕事が忙しいこと、

結婚したから更に頑張らないとと思って無理をしていること、

心配してくれていることは冷静になればわかる。


その日、他にもたくさんあった夫からの提案は

わたしにバッサリ却下された。

そんな会話をした後、晩御飯にオムライスを作った。


前日に作ったとうもろこしご飯のリメイクだ。

わたしはとうもろこしがあまり好きではない。

『季節のものを食べて、夫には健康でいてもらいたい。』

という気持ちの方がとうもろこしを食べたくない気持ちより大きかったので、作った。

ネットで調べて作ったトロトロたまごをとうもろこしご飯の上に乗せた。

ケチャップをかけようと思ったが、

うまくケチャップが出てこなかったので、

お皿を台所のふちに置いた。


〝ガシャン!!〝


大きな音を立てて、オムライスが飛び散った。


わたし「ごめん。

    折角うまくできたのに。

    ケチャップなんかかけずに出せば良かったね。」

夫「そんなことより危ないよ。」


2人で無言で掃除をした。


「オムライスが、、、。」

「オムライスが、、、。」

と、わたしがずっと言っていたらしいが、無意識だ。

夫「オムライスを食べられなかったから、

  お腹空いたんでしょ?

  ◯◯はいつもたくさん食べるもんね!

  俺が何か作るよ。」

わたし「要らない。

    お腹空いていない。」


きっかけは夫の些細な行動だった。

きっといつものわたしなら気になっても、

ここまで拗らせなかった。


『まだ一緒に住んでいないから、週末しか会えずにいるのに

 なんでこんなことになっちゃったんだろう。』

と思ったら、すごく悲しい気分になってしまった。


部下が癌治療で入院し、12時間以上会社にいる毎日。

退勤してから、12時間以内には出勤。

帰宅してからは新居への引っ越し準備。

夫の仕事関係の方々への内祝い選びや手配。


新居のことはほとんど夫任せなので、

せめて夫がわたしにして欲しいと期待していることぐらいは

ちゃんとしたい。

晩御飯を食べずにひとまず寝る毎日。


『このままではまずい。』

オムライスが食べられなかったお陰で気づけた。

『夫はわたしが眉間に皺を寄せてまで、

 きっと内祝いを選んで欲しいわけじゃない。』


とは言え、帰りが遅いことは変わらない。

つまりは寝不足と空腹はなかなか改善されない。

話をすれば、また、喧嘩腰になるかもしれない。

そんなことを寝不足の中、悶々と考えた1週間。

昨日、夫の部屋に手紙を置いてきた。

もちろん、ご飯を食べた後に書いた。

わたしが帰宅した後、夫には手紙の場所を教えたので、

読んでくれていると信じている。


明日、2人とも新居へ引っ越す。

自分の機嫌は自分でとれるよう、気をつけたい。