「ドクターイエロー」心書vol.80

『あっ!ドクターイエロー!!』

出張先から急いで会社へ戻るために降りた駅で

ドクターイエローをみた。

降りたホームの反対ホームに停まっていたのだ。

 

子ども達の撮影が落ち着いたかな?というタイミングをみて、

すかさず最前列を確保した。

何枚か写真を撮り、急いで会社へ向かう。

 

『あっ。パスケースがない!』

改札へ向かう途中で気づき、急いでホームに戻り、探したものの、

見つからなかった。

改札で事情を説明し、改札の外に出させてもらい、

忘れ物センターに駆け込んだ。

新幹線の座席を確認してもらったものの見つからず、

忘れ物登録をすまして、会社へ急いだ。

 

帰社が遅れてしまいそうだったため、予め会社に電話してあった。

会社へ戻ると部下からひと言。

「私もドクターイエローを1年の間に3回みたことがありますけど、

 その年に飼い猫が亡くなりました。

 良いことありませんでしたよ。」

 

『ガーン!!』

私の心の中でそんな音がした気がした。

 

その日の夜は以前派遣できて頂いていた方と

部下の結婚祝いの食事をすることになっていた。

「◯◯さん、まだアボカドを育てようとされていますか?」

と、食事途中、派遣で来て頂いていた□□さんから聞かれた。

 

私「何度か□□さんのお母さんにアドバイス頂いたようにやってみましたが、

  育たなくて諦めてしまいました。」

□□さん「実は母から「◯◯支店長、まだアボカド育てていらっしゃるやろうか?」

     と聞かれたのですが、「分からない。」って答えたんです。」

私「お母さん、覚えていてくださったんですね。

  ありがとうございます。」

□□さん「「お母さん、1年かけて育てておいたから、

     もう枯れないと思うねん。

     明日持って行ってあげ。2本あるからちゃんと実がなるよ。」

     と言われたんですが、

     ◯◯さん、お荷物もあられるし、「邪魔になられるよ。要らない。」

     と答えたんですけど、、、。」

私「お気遣いありがとうございます。」

□□さん「朝起きたら、自宅前にアボカドの木が2本置かれていて、、、。

     夜中のうちに母に言われて、父が持って来たんだと思うんですよね。   

     邪魔ですよね。」

 

なんと、お母さんが覚えていてくれて、代わりに育ててくださっていたとは!

パスケース兼名刺入れを失くしたことを忘れるほど、

ほっこりした。

すると携帯が鳴っていることに気付いた。

 

駅員さん「◯◯さんの携帯ですか?   

     ご連絡が遅くなってすみません。

     お探しのパスケースと思われるものが見つかりました。

     お名刺が入っていたので、間違いはないと思うのですが、

     念のため、落とされた際の状況を教えて頂けますか?」

私「▲▲時▲▲分に新幹線を降りましたら、

  反対ホームにドクターイエローが停まっていたので、

  思わず写真を撮ってしまいまして、

  その際に落としたのではないかと思っています。」

駅員さん「そうですか。  

     いつ来られますか?」

 

なんとパスケース兼名刺入れも無事に見つかった。

次の日に忘れ物センターに寄って、確認すると

確かに私のものだった。

 

私「ありがとうございます。

  ドクターイエローをみたらテンション上がってしまって。」

と話していたら、隣の席で違う方の対応をされていた駅員さんから話しかけられた。

駅員さん「電話で、ドクターイエローをみていたとお話されていた方ですよね? 

     良かったら。」

と言って、ドクターイエローの絵が描かれた忘れ物を送る際に使われている紙を下さった。

 

落とし物をしたことは反省だが、

なんだか良い1日になった。